バレエ・リュスとは??世界に衝撃を与えたバレエの特徴をご紹介!!

こんにちは!バレエを愛して止まないライター、きなこです。
皆さま、「バレエ・リュス」って聞いたことがありますか?
バレエ・リュスは、1909年から1929年に活躍したロシアの小さなバレエ団です。
しかし、この小さなバレエ団が世界に与えた衝撃は爆発的であり、今日のバレエだけでなく美術や音楽、ファッション業界にまで大きな影響を与えています。
そこで、今回はこの伝説とも呼ばれるバレエ団、バレエ・リュスとその特徴をご紹介します。
バレエに興味のある方はもちろん、絵や音楽、ファッションを勉強したい方はぜひお読みいただき、バレエ・リュスが与えた影響について知っていただけると嬉しいです。
※少し過激な表現がありますので、苦手な方はリターンしてくださいね…!
覚悟はよろしいでしょうか?それでは、早速始めていきましょう!
ロシア伝説のバレエ団、バレエ・リュスとは?
まず初めに、バレエ・リュスの基本情報を押さえておきましょう。
- 活動期間:1909-1929
- 活動拠点:パリ
- 創設者:セルゲイ・ディアギレフ
ロシアのバレエ団。モダンバレエの基礎を築く。
美術・音楽・ファッション業界に大きな革新と衝撃を与える。
バレエ・リュスとは、フランス語でロシア・バレエ団の意味です。
創設者はロシアの天才プロデューサー、セルゲイ・ディアギレフ。
ディアギレフは「天才を見つける天才」と呼ばれ、バレエ・リュスを通して数々のスターダンサーや、美術の異才、音楽の天才を発掘しました。
▼セルゲイ・ディアギレフ
引用:Wikipedia
バレエ・リュスに関わった人として有名な人の中には、画家のピカソやココ・シャネル、ストラヴィンスキーなどがいますよ!
きなこ
有名な人ばかりだ!!
こばたん
詳しくは後ほど♪
きなこ
バレエ・リュスが活動したのは1909年から1929年のたった20年間。
革命で多くの人が犠牲になり、第一次世界大戦が勃発していく、激動の時代でした。
1909年5月、パリのシャトレ座での公演が、バレエ・リュスの始まりだと言われています。
出演したのは、タマーラ・カルサーヴィナやヴァーツラフ・ニジンスキーなど、マリインスキー劇場の若手ダンサーたちでした。
そこで披露されたバレエはこれまでのクラシックバレエと違い、単なる美しい形や動きを見せるものではありません。ダンス自体が作品全体の意味や物語を表すようにフリーに動き、女性だけでなく男性の動きも重要性を持つ、新しいバレエでした。
舞台美術を彩ったのは、アレクサンドル・ブノワの美しいロココ調のデザイン。
音楽はミハイル・グリンカやピョートル・チャイコフスキーなど、ロシアの様々な音楽家の名曲たち。
テクニカルなダンスと華麗な舞台美術、ロシア音楽の名曲の全く新しい一体感は、パリを超えて世界を驚かせ、カルサーヴィナやニジンスキーは瞬く間にスターとなります。
ニジンスキーのジャンプは空中で静止するらしいよ!
きなこ
人間じゃないな…。
こばたん
バレエ・リュスはその革新的な舞台で、バレエだけでなく、美術、ファッション、音楽の世界にも衝撃を与えており、20世紀前半のあらゆる芸術の結実体とも言われています。
世界に衝撃を与えたバレエ・リュスの特徴
さて、パリで衝撃的な幕開けをしたバレエ・リュスですが、その後ヨーロッパやアメリカで60本以上の新作を披露します。
バレエ・リュスの作品の特徴は、以下の通りです。
- イサドラ・ダンカンの影響を強く受けた、既存のバレエを超えた表現
- 客席が怒号で埋め尽くされるような刺激的な演出
- 天才的な美術家・音楽家との共演
イサドラ・ダンカンの影響を受けた、既存のバレエを超えた表現
バレエ・リュスの創設者、ディアギレフは1904年にペテルブルクで公演されたイサドラ・ダンカンのバレエにショックを受けます。
イサドラはバレエのスカート(チュチュ)も、バレエのシューズ(トウ・シューズ)も履かずに自由に踊りだしたのですから…。
当時帝室バレエ団のダンサーでありバレエ・リュスの最初の振付家である、ミハイル・フォーキンはダンカンの踊りを見習って、まったく新しいバレエの振付を試みました。
これが後にパリに衝撃を与える作品になります。
イサドラはフォーキンと同じく帝室バレエ団のダンサー、アンナ・パヴロワのアパートに招かれ、そこに出入りしていたディアギレフと語り合いました。
これが、バレエ・リュス結成への大きな一歩となったそうです。
イサドラ・ダンカンについては、書人咲村雛乃さんのこちらの記事で詳しく紹介されています。
客席が怒号で埋め尽くされるような刺激的な演出
バレエ・リュスの作品はどれも、美しく綺麗だけで収まるものではありません。
初演されたときは、作品のあまりの過激さに客席から怒号が響き渡ることもしばしばありました。
特に顕著だったのは、「牧神の午後」(1912)と「春の祭典」(1913)。
牧神の午後(1912)
「牧神の午後」は、スターダンサー、ニジンスキーが最初に振り付けた作品です。
この作品のモチーフは、美しいニンフを追いかける好色な牧神。
引用:YouTube
衣装は体の線がはっきりわかるほど露出しており、動きはまるでエジプト美術のように平面的でぎくしゃくしていました。
端的に言うと、振付も衣装もわいせつと受け取れるようなものでした。
初めて披露されたときは驚きのあまり客席が静まり返ってしまったので、ディアギレフは幕を上げて再度上演させたそうです。
珍しいもの好きなパリはこの「牧神の午後」を新しいアートとして認めたため、結果的には成功となりました。
春の祭典(1913)
そして、「春の祭典」(1913)はその華やかな名前とは裏腹に、かなりグロテスクです。
あらすじはこんな感じです。
春を迎える古代ロシア。
太陽や月、自然そのものが神として崇められていた時代。太陽神ヤーリロ礼讃のために、ある”祭典”が開かれる。
第1部は「大地礼讃」、第2部は「犠牲(いけにえ)」。
太陽神へのいけにえとして1人の少女が選ばれ、踊りを踊る。少女は息絶え、長老たちによって太陽神に捧げられる。
怖すぎるだろ…。
こばたん
「春の祭典」の振付もニジンスキー。
踊りの振付は群衆のうごめきのような怪しいステップと、少女の狂ったような踊りが特徴的。
音楽はまるで騒音のように不快だったので、劇場は支持者と反対者で乱闘になったそうです。
ちょっと怖いので動画は載せないことにしますね。
興味がある方は、「春の祭典」で検索してみてください…!
天才的な美術家・音楽家との共演
前述したとおり、ディアギレフは「天才を見つける天才」でした。
それは、ダンサーにとどまったことではなく、画家や音楽家も含まれます。
ワツラフ・ニジンスキー(1890-1950)
まずは、バレエ・リュスを語るに欠かせない伝説のダンサーであり振付家、ワツラフ・ニジンスキー。
小さい時からサーカスでアクロバットを習うなど、とにかく身体能力が抜群でした。
バレエ・リュスで舞台に上がるたびに、ある時はその驚くべき身体能力に、ある時は大胆で美しい表現に、そしてある時は恐ろしい闇に、話題となったそうです。
彼の生涯は、映画にも舞台にもバレエにもなっているのですから、いかに歴史に衝撃を与えた人物なのかわかるでしょう。
イーゴリ・ストラヴィンスキー(1882-1971)
また、バレエ・リュスの中でも一番有名な作品といっても過言ではない、「火の鳥」(1910)。
「火の鳥」の作曲者はイーゴリ・ストラヴィンスキーですが、彼はディアギレフによって才能を開花させました。
当時まだ若く無名だったストラヴィンスキーは、「火の鳥」で音楽界にその名をとどろかせることになります。
実際に「火の鳥」の音楽は、木琴の高い旋律が印象的で、聞いているだけでなんだか勇気が沸いてくるような感じがします。
やる気を起こしたい時にもおすすめですよ!
引用:YouTube
パブロ・ピカソ(1881-1973)
また、誰もが知っている画家パブロ・ピカソは、「パラード」(1917)のために、衣装を制作してから、様々な作品の衣装、舞台美術を担当しました。
ピカソはこの時、バレエ・リュスのダンサーオリガ・ホフロワに夢中になっていて、彼女の絵ばかり書いていたそうです。
ピカソの絵も見ることができるヨーロッパ美術館は、書人Amieさんがご紹介されています♪
ココ・シャネル(1883-1971)
そして女性の憧れ、ココ・シャネル。
彼女は恋人を交通事故で亡くしたあと、イタリアでディアギレフと出会います。
「春の祭典」の資金で苦しんでいたディアギレフに、シャネルは援助を始めました。
それと同時に、ロシアン・モードを彼女のファッションに取り込むようになります。
シャネルに関しては、バレエ・リュスを利用してたって感じね。
きなこ
そういう言い方するな。
こばたん
バレエ・リュスとは??世界に衝撃を与えたバレエの特徴をご紹介!! まとめ
ここまで、ロシア伝説のバレエ団、バレエ・リュスについてご紹介してきました。
最後にもう一度、バレエ・リュスの特徴をまとめます。
- イサドラ・ダンカンの影響を強く受けた、既存のバレエを超えた表現
- 客席が怒号で埋め尽くされるような刺激的な演出
- 天才的な美術家・音楽家との共演
まだまだバレエ・リュスのほんの一部分しかご紹介できていませんが、なんとなくイメージを持っていただけたら嬉しいです。
バレエ・リュスはロシアの芸術をすべて閉じ込めたような華やかさと、人間の生々しさをあわせもった不思議なバレエです。
好みは人それぞれあるかと思いますが、当時の人々が感じた衝撃を少し味わってみるのも、想像力を高めるいい刺激になるかもしれませんね。
最後までお読みいただきありがとうございました。