「売上が伸びない」「集客が安定しない」「競合に負けてしまう」
こうした相談は、業種を問わず多く聞きます。
ただ、話を整理していくと、原因が商品力や努力不足ではないケースも少なくありません。
むしろ多いのは、戦っている場所と戦い方がズレている状態です。
売上を上げる前に、どのシェアを狙うのか
売上を上げる以前に、「どのシェアを狙うのか」が曖昧になっている。
この構造が見落とされがちです。
多くの会社は、商品を良くすることや広告を増やすことに意識が向きます。
もちろん、それ自体は大切です。
ただし、どこで勝つのかが曖昧なまま努力を重ねると、勝てない場所で消耗してしまうことがあります。
売上が伸びない原因は、努力不足ではなく「狙うシェアの順番」を間違えていることかもしれません。
よくあるズレ|市場の1%取れれば勝てる
よくあるのが、次のような発想です。
「この市場は100億円ある。そのうち1%取れれば、年商1億になる」
数字としては筋が通っています。
しかし、この考え方のまま進むと、消耗戦になりやすいのも事実です。
なぜなら、その1%を狙うプレイヤーが同時に何百社も存在しているからです。
- 価格競争が起きる
- 広告費が高騰する
- 利益率が下がる
- 資金力や認知度のある企業が有利になる
ここで大事なのは、個人や中小企業が勝てないという話ではありません。
勝てないのではなく、勝ちにくい場所で戦ってしまっている。
この見方のほうが実態に近いはずです。
シェアは1種類ではない
では、どこを見直すべきか。
鍵になるのが「シェア」の捉え方です。
シェアというと、多くの人はマーケットシェアを思い浮かべます。
しかし実際には、シェアには複数の種類があります。
- マーケットシェア|市場全体に対する売上割合
- ウォレットシェア|顧客支出のうち自社に使われる割合
- マインドシェア|真っ先に思い出される割合
- ハートシェア|信頼や好意の割合
- タイムシェア|使われる時間の割合
そして、多くの事業者が最初から狙いがちなのがマーケットシェアです。
しかし、マーケットシェアは最後に取れるものになりやすい。
この順番が逆転すると、戦いが厳しくなります。
現実に近いシェアの順番
現実に近い順番は、むしろこうです。
- タイムシェア
- マインドシェア
- ハートシェア
- ウォレットシェア
- マーケットシェア
人は、時間を使ったものを覚えます。
覚えたものを信頼します。
信頼したものにお金を払います。
この積み重ねが、結果として市場での売上につながっていきます。
つまり、売上を直接取りに行く前に、「思い出される」「選ばれやすくなる」状態を先に作っている企業ほど強いということです。
マーケットシェアは結果です。その前に、時間・記憶・信頼のシェアを積み上げる必要があります。
小さな店が強い理由
たとえば、あなたが飲食店を選ぶ場面を想像してください。
大手チェーン店は、マーケットシェアでは強いかもしれません。
しかし、あなたが「つい行ってしまう店」は別にあるはずです。
- 落ち着く
- 店主の顔が浮かぶ
- 話が通じる
- いつ行っても安心できる
こうした店は、全国規模のマーケットシェアを取っているわけではありません。
それでも、あなたの中のタイムシェアやウォレットシェアを獲得しています。
結果として「好き」「信頼できる」という感情が育ち、自然と選ばれ続ける状態が生まれます。
この構造は、BtoBでも同じです。
タイムシェアを取る鍵は記憶に残ること
では、タイムシェアを取るには何が必要か。
重要なのは、記憶に残ることです。
そして記憶の定着という観点では、視覚情報よりも聴覚情報のほうが強く働くことがあります。
たとえば、テレビCMを思い出すとき、映像よりもメロディやフレーズが先に出てくることはないでしょうか。
音は、繰り返されることで記憶を作ります。
そして、記憶は思い出す回数を増やします。
思い出す回数が増えると、自然とマインドシェアが上がり、信頼にもつながりやすくなります。
これは人を操作するための話ではありません。
ただ、顧客の意思決定が記憶に強く影響される以上、その構造を理解しておくことは重要です。
覚えられても、選ばれるとは限らない
ただし、覚えられるだけでは十分ではありません。
最後に問われるのは、「なぜそれを選ぶのか」という理由です。
つまり、唯一無二性です。
音で記憶に残ったとしても、似た商品が大量にあれば、選ばれ続けることは難しくなります。
だからこそ重要なのは、多くの人が悩んでいるのに、まだ解決されていない問題を見つけることです。
珍しいものを作るのではありません。
必要とされる領域で、明確な解決策になる。
この設計ができた瞬間に、競争は大きく変わります。
覚えられることと、選ばれることは別です。記憶に残った上で、選ぶ理由まで設計する必要があります。
売上の前にシェアの設計を見直す
売上が伸びないとき、人は「広告を増やす」「営業を強化する」方向へ行きがちです。
もちろん、それが必要な場合もあります。
ただ、その前に一度、整理してみる価値があります。
- 自分はどのシェアを取りに行っているのか
- 順番を間違えていないか
- いきなりマーケットシェアを狙っていないか
- タイムシェアやマインドシェアを積み上げているか
マーケットシェアは最後です。
その前に、時間・記憶・信頼を積み上げる。
この視点を持てるだけで、同じ商品でも戦い方が変わっていきます。
勝てない場所から抜け出す
あなたのビジネスは今、マーケットシェアを取りにいく設計になっているでしょうか。
それとも、タイムシェアを積み上げる設計になっているでしょうか。
次に伸ばすために、まず見直すべきシェアはどこだと思いますか?
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