「うちの商品には自信がある。」
「サービスにも手応えを感じている。」
それでも思うように取材につながらない。
情報発信で大切なのは、「何を伝えるか」より「誰のための情報か」
そんな悩みを抱える経営者の方は少なくありません。
一方で、規模が決して大きいわけではない企業が、新聞やテレビ、Webメディアなどで継続的に紹介されることもあります。
この違いは、会社の規模や広告予算だけで説明できるものではありません。
もちろん、商品やサービスの質は大切です。
しかし、それだけで情報が広がるのであれば、多くの企業が同じように注目されているはずです。
では、その差はどこから生まれるのでしょうか。
今日は、情報発信やプレスリリースを考えるうえで、多くの企業が見落としやすい「視点」について考えてみたいと思います。
情報発信で大切なのは、自社が言いたいことを並べることではありません。その情報が、社会やお客様にとって「知る意味のある情報」になっているかを考えることです。
会社が伝えたいことと、社会が知りたいことは同じではない
企業が情報発信をするとき、どうしても自社を中心に考えがちになります。
- 新しい商品を発売した
- 新サービスを開始した
- 売上が伸びた
- 新しい設備を導入した
会社にとっては、どれも大切な出来事です。
しかし、そのままでは社会にとってのニュースになるとは限りません。
情報には、「発信する価値」と「受け取られる価値」があります。
そして、この二つは必ずしも一致するわけではありません。
メディアが知りたいのは、「会社で何が起きたか」だけではありません。
- その出来事が、社会とどうつながっているのか
- 読者にどんな気づきや関心を与えるのか
- どのような背景や文脈があるのか
そこに価値を見出しています。
だからこそ、「会社の出来事」をそのまま伝えるだけでは、十分に届かないことがあります。
「会社の話」を「社会の話」に置き換えてみる
例えば、新しいサービスを始めたとします。
「新サービスを開始しました。」
これは事実ですが、それだけでは受け手との接点はまだ見えてきません。
一方で、
- 人手不足が続く現場で、業務負担を軽減するために開発しました
- 高齢化が進む地域で、新しい移動手段として活用されています
という背景が加わると、その情報は社会との接点を持ち始めます。
伝えている出来事は同じです。
変わるのは、情報の見せ方です。
自社の出来事を、自社だけの話で終わらせない。
この視点があるだけで、情報の受け取られ方は大きく変わることがあります。
情報発信は、会社の出来事を社会の文脈へ翻訳する仕事です。自社だけの話で終わらせないことで、受け取る側との接点が生まれます。
メディアが探しているのは「宣伝」ではなく「材料」
編集者は日々、多くの情報に触れています。
限られた時間の中で、「どの記事を読者に届けるか」を考えています。
そのとき必要なのは、企業の宣伝ではありません。
- 読者が興味を持つテーマ
- 社会的な背景
- 客観的なデータ
- 記事として伝えやすい素材
例えば、自社で実施した調査結果があれば、そこから社会の変化を読み取れるかもしれません。
地域との取り組みがあれば、新しい地域づくりの事例として紹介される可能性もあります。
現場で積み重ねてきた工夫が、働き方や人材育成というテーマにつながることもあります。
特別な出来事をつくる必要はありません。
今ある取り組みを、社会との関係の中で整理してみる。
そこに新しい切り口が生まれることがあります。
情報発信は、相手への配慮でもある
もう一つ、大切にしたい視点があります。
それは、「相手の仕事を助ける」という考え方です。
- 写真が整理されている
- 数字の根拠が分かる
- 背景が簡潔にまとめられている
- 問い合わせ先が明確になっている
こうした準備は派手ではありません。
しかし、受け取る側にとっては、とても助かる情報になります。
営業でも採用でも同じですが、「伝える力」は話し方だけではありません。
相手が理解しやすい形を整えることも、大切なコミュニケーションです。
良い情報発信は、相手の仕事を助けます。理解しやすく、扱いやすい形に整えることも、信頼につながる大切な配慮です。
情報発信は、信頼を積み重ねる活動
プレスリリースというと、「取材されるためのもの」という印象を持たれることがあります。
もちろん、その役割もあります。
しかし、それだけではありません。
企業がどんな考えで事業を行い、どのような課題に向き合い、社会とどう関わっているのか。
そうした姿勢を継続して発信することは、企業の信頼を少しずつ育てていく活動でもあります。
すぐに結果が出るとは限りません。
けれども、積み重ねられた情報は、営業や採用、取引先との関係づくりなど、さまざまな場面で企業の土台になっていきます。
短期的な反応だけを見るのではなく、「どんな企業として認識されたいのか」という視点で情報発信を考えてみる。
その積み重ねが、結果として取材や新たな出会いにつながることもあるでしょう。
誰のための情報かを考える
情報発信とは、自社を大きく見せるためのものではありません。
社会との接点を見つけ、自社の取り組みが誰に、どのような意味を持つのかを丁寧に言葉にしていく営みです。
これは人の判断を奪うための話ではありません。
伝える相手を理解しようとする姿勢が、結果として信頼につながっていくという考え方です。
もし次にプレスリリースや情報発信を考える機会があれば、一度こんな問いを立ててみてください。
「この情報は、自社にとってのニュースになっているだけではなく、社会やお客様にとっても『知る意味のある情報』になっているだろうか。」
その問いが、これからの情報発信の切り口を少し変えてくれるかもしれません。
事業の伝わり方を、
毎朝少しずつ整える。
書人百花では、事業の言葉と導線を整えるヒントを、無料メールレターとしてお届けしています。
良い商品やサービスの価値を、必要な人に届く順番で伝えたい方は、まずは毎朝3分の読みものからご覧ください。
無料メールレターを受け取る

コメント