経営者の方とお話ししていると、
「売上は伸びているのに、お金が残らない」
「人が定着しない」
「忙しいのに利益が出ない」
そんな悩みを耳にすることがあります。
バックオフィスは守りではなく、成長の土台かもしれない
もちろん、業界や事業内容によって事情は違います。
ただ、少し乱暴に言うと、こうした悩みには共通する構造があります。
それは、
「攻める力」に比べて、「支える仕組み」が追いついていないこと。
今日は、その話をしてみたいと思います。
売上を伸ばす力だけでは、会社は安定しません。成長を長く続けるには、経理・人事・労務・法務など、会社を支える仕組みが必要です。
売上が伸びても、会社は楽にならないことがある
創業期は、とにかく売上を作ることが優先になります。
- 営業をする
- 集客をする
- 商品を磨く
当然ですよね。
売上がなければ会社は続きません。
だから多くの経営者は、まず「攻める力」を磨いていきます。
そして、月商100万円、500万円、1000万円と成長していく。
ところが、ここで意外なことが起こります。
売上は増えている。
でも、なぜか余裕がない。
- 手元資金は増えない
- 人も辞める
- 社長はさらに忙しくなる
- 利益が思ったほど残らない
これ、珍しい話ではありません。
問題は能力ではなく構造にある
これは経営者の能力不足という話ではありません。
むしろ、多くの起業家は、
- 営業が得意だったり
- 技術に強かったり
- アイデアを形にする力を持っていたり
します。
つまり、「攻め」が得意なんです。
一方で、
- 経理
- 人事
- 労務
- 法務
- 総務
といった領域を得意にして起業する人は、それほど多くありません。
だから自然と、売上を作ることには全力を注ぐ一方で、会社を支える仕組みは後回しになりやすい。
これは性格の問題というより、構造的に起こりやすいことなのかもしれません。
経営が苦しくなる原因は、能力不足ではなく、売上を伸ばす仕組みに対して、会社を支える仕組みが追いついていないことにあるかもしれません。
バックオフィスは本当にコストなのか
ここ、意外と見落とされがちですが、多くの会社ではバックオフィスが「費用」として捉えられています。
- 経理は売上を生まない
- 人事はコスト
- 総務は雑務
そんな見方もあるでしょう。
でも、本当にそうでしょうか。
営業が1000万円の売上を作ったとして、利益率が10%なら利益は100万円です。
一方で、無駄な支出を500万円減らせば、その500万円はそのまま利益になります。
採用のミスマッチを減らせれば、離職コストも下がります。
契約書や労務管理が整えば、大きなトラブルを未然に防ぐこともできます。
派手ではありません。
SNSで話題になることも少ない。
でも、見えないところで会社を支えている仕事が、結果として利益を作っている。
そんな見方もできると思うんですよね。
優秀な人ほど、本来の仕事ができなくなる
ある会社では、営業のエースが毎日経費精算に追われていました。
技術者が会議の日程調整をしていました。
社長自身も、細かな事務作業や確認業務に多くの時間を使っていました。
本人たちは頑張っています。
でも、少し不思議ですよね。
一番価値を生みやすい人が、一番価値を生みにくい仕事に時間を使っている。
これでは、組織全体の生産性は上がりにくくなります。
たとえるなら、F1マシンで買い物に行っているようなものです。
性能は高い。
でも、使い方が少しもったいない。
そんな状態です。
優秀な人ほど、本来価値を生む仕事に集中できる環境が必要です。バックオフィスは、その集中を支えるための土台でもあります。
守りは攻めを支える
バックオフィスというと、守りの仕事という印象があるかもしれません。
でも実際には、守りと攻めは対立するものではありません。
- 優秀な人事がいれば、採用の質が上がる
- 経理や財務が整えば、経営判断の精度が上がる
- 法務が機能すれば、新しい挑戦もしやすくなる
つまり、守るための機能があるからこそ、安心して攻められる。
スポーツでも、強いチームほど基礎練習を大切にします。
派手なプレーだけで勝ち続けるチームは、なかなかありません。
会社も少し似ているのかもしれません。
全部を自分で抱えなくてもいい
ここで勘違いしたくないのは、
「全部を内製化する」
という話ではないことです。
むしろ逆です。
- 経理
- 採用
- 労務
- 総務
- 法務
専門家に任せた方が機能しやすい領域はたくさんあります。
大切なのは、人を増やすことではなく、必要な機能を持つこと。
10人の会社でも、組織図を書いてみると、意外な空白が見えてくることがあります。
- 人事担当がいない
- 経理を社長が兼任している
- 法務が誰も見ていない
そうした状態が見えれば、少しずつ整えていけばいい。
最初から完璧である必要はありません。
バックオフィスを整えることは、人を増やすことだけではありません。必要な機能を見極め、外部の力も使いながら支える仕組みを持つことです。
視点を変えると見え方も変わる
経営というと、どうしても売上や集客が注目されます。
もちろん、それは大切です。
ただ、会社が大きくなるほど、成長を決めるのは「前に進む力」だけではなく、
「支える力」
になっていく。
そんな場面も増えていきます。
目立つ仕事ではない。
称賛されることも少ない。
それでも、地盤がしっかりしている建物が長く残るように、組織もまた、見えない部分の質が未来を左右するのかもしれません。
バックオフィスを成長の土台として見る
強い考え方ほど、使い方で品格が出ます。
バックオフィスを整えることは、人を増やすことでも、コストを増やすことでもありません。
相手の判断を奪うための話ではありません。
「会社のどこを強くするのか」
を考える視点を少し増やす。
そのための話です。
売上を伸ばすために使っている時間や労力の中で、もし一つだけ「支える仕組み」を整えるとしたら、
あなたの会社では、どこから手をつけると機能しやすいでしょうか?
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