多店舗経営というと、
「店舗数を増やすこと」
が目的になりやすいものです。
1店舗目がうまくいき、2店舗目も軌道に乗る。
すると次は3店舗目、5店舗目、10店舗目へ。
3店舗目で苦しくなる経営者に共通すること
成長している実感もありますし、周囲から見ても順調に見える。
でも、意外と見落とされがちなのですが、店舗数が増えることと、経営が前に進んでいることは、必ずしも同じではありません。
むしろ、多店舗展開が進むほど、経営者に求められる仕事は大きく変わっていきます。
そして、この変化に対応できるかどうかが、その後の明暗を分けることになるのかもしれません。
店舗数を増やすことと、経営が強くなることは同じではありません。多店舗経営で大切なのは、店舗を増やしても崩れにくい仕組みを育てることです。
なぜ3店舗目あたりで苦しくなるのか
1店舗のときは、経営者自身が現場に入りながら改善できます。
2店舗でも、ある程度は自分が動いて調整できます。
しかし3店舗を超えたあたりから、少しずつ違和感が生まれます。
「自分が行けば解決する」
このやり方が、物理的に通用しなくなってくるからです。
すると、次のようなことが起こり始めます。
- 店ごとに品質が変わる
- 店長によって判断基準が違う
- 教育内容にばらつきが出る
- 人材の定着率が下がる
- 売上は増えているのに利益が残らない
多店舗経営が難しいのは、店舗を増やすことそのものではありません。
「自分が動く経営」から「組織が動く経営」へ移行すること。
ここに、本当の難しさがあるように思います。
1店舗経営と多店舗経営は別の仕事
少し乱暴に言うと、1店舗経営と多店舗経営は、似ているようで別の事業です。
1店舗では、次のような力が大きな武器になります。
- 技術力
- 接客力
- 現場力
しかし店舗数が増えると、求められるものが変わります。
必要になるのは、次のような「人が再現できる構造」です。
- 教育の仕組み
- 管理の仕組み
- 情報共有の仕組み
- 評価の仕組み
- 組織づくり
だから、多店舗経営において重要なのは、優秀な人を探し続けることよりも、普通の人でも成果を出しやすい環境をつくることなのかもしれません。
経営者自身のコピーを探そうとすると、いつまでも経営者が現場から離れられなくなります。
一方で、誰か一人の能力に依存しない仕組みができると、組織全体が少しずつ安定していきます。
つまり、多店舗経営とは、店舗数を増やすゲームではなく、
「再現性を高める仕事」
という見方もできるのです。
多店舗経営で必要なのは、経営者と同じ人を探すことではなく、誰が担当しても一定の価値を届けられる仕組みを整えることです。
本当に増やすべきもの
例えば飲食店でも美容室でも、1店舗目はオーナー自身がスター選手として活躍しているケースがあります。
接客もできる。
技術もある。
スタッフ教育もできる。
だから結果も出る。
しかし、その成功体験をそのまま持ち込んで店舗数だけ増やすと、
「自分と同じ人材が欲しい」
という発想になりやすくなります。
でも現実には、全員が経営者と同じ熱量や経験を持つわけではありません。
そこで重要になるのは、
「優秀な人を待つこと」
ではなく、
「誰が担当しても一定水準になる仕組み」
を整えていくことです。
- 接客基準
- 教育手順
- 面談の頻度
- 数字の見方
- 評価の基準
こうしたものが少しずつ言語化されることで、組織は人に依存しにくくなっていきます。
派手さはありません。
ですが、こうした地道な積み重ねこそが、長く続く組織を支えているのかもしれません。
店舗数よりも大切なこと
多店舗展開という言葉を聞くと、
「どこまで大きくするか」
に意識が向きがちです。
でも、本当に大切なのは、
「何店舗あるか」
ではなく、
「何店舗になっても同じ価値を届けられるか」
なのかもしれません。
店舗数は結果です。
その前にある仕組みや組織こそが、実は経営の土台になります。
そして、店舗が増えるほど、経営者の仕事は現場のプレーヤーから、人と組織を育てる役割へと変わっていきます。
ある意味、店舗数が増えるほど、経営者は「何をするか」よりも、
「何を自分がやらなくても回るようにするか」
を考える仕事になっていくのかもしれません。
多店舗展開で本当に増やすべきなのは、店舗数だけではなく、現場が自走できる判断基準や教育の仕組みです。
店舗を増やす前に、仕組みを育てる
これは人を操作するための話ではありません。
短期的に効く方法ほど、長くは続きません。
だからこそ、人や組織に無理をかけるよりも、続けられる仕組みを少しずつ育てていく。
そんな考え方のほうが、結果として遠回りのようで近道になることもあるように思います。
もし今、次の出店や事業拡大を考えているとしたら。
あなたが増やそうとしているのは、
店舗数でしょうか。
それとも、
店舗数が増えても崩れにくい仕組みでしょうか。
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