「経験がないので、まだ難しいと思います。」
この言葉を聞くたびに、少し考えてしまうことがあります。
もしかすると私たちは、「経験がないこと」そのものよりも、「経験がない状態で一歩を踏み出すこと」を怖れているのかもしれません。
「経験がないので…」が、可能性を閉じてしまう理由
仕事をしていると、この言葉を聞く場面があります。
- 新規事業
- 新しい役割への挑戦
- 未経験の領域への転職
- 組織そのものを変えていく取り組み
もちろん、慎重さは大切です。
準備をせずに飛び込めばいい、という話ではありません。
ただ、「経験がないこと」を理由にして、未来の可能性まで閉じてしまうことがあります。
その状態が長く続くと、選択肢は少しずつ減っていきます。
「経験がない」は慎重さの言葉でもあります。けれど、その言葉を理由に一歩も動けなくなると、未来の選択肢まで少しずつ閉じてしまうことがあります。
私たちは、いつから「初めて」を避けるようになったのか
少し乱暴に言うと、私たちは大人になるほど「初めて」を避けるようになります。
- 失敗したくない
- 評価を下げたくない
- できなかったときの責任を負いたくない
だから、「経験がない」という言葉は、とても便利です。
その言葉を使えば、自分を守ることができます。
周囲も、
「それなら仕方ないですね」
と言ってくれるかもしれません。
でも、ここには一つの逆説があります。
今、当たり前にできていることの多くは、すべて未経験から始まっているということです。
準備が整うまで待ってしまう心理については、「完璧を目指す人ほど前に進めなくなる理由」で詳しく書いています。
- 初めて営業をした日
- 初めて部下を持った日
- 初めてお客様の前で提案した日
最初から経験があった人は、一人もいません。
経験は、行動の後に積み上がるもの
経験は、行動の前にあるものではありません。
行動の後に積み上がっていくものです。
にもかかわらず、私たちはいつの間にか、
「経験があるからやる」
という順番で考えるようになります。
本来は、
「やるから経験になる」
という順番なのかもしれません。
特に今の時代は、変化しないこと自体がリスクになりやすい時代です。
- 業界の常識
- 働き方
- お客様の価値観
それらは、少しずつ変わり続けています。
その中で、「経験がないから」と立ち止まり続けると、気づかないうちに選択肢が減っていくことがあります。
経験は、行動する前に用意されるものではありません。小さく動いたあとに積み上がり、あとから「経験」と呼べるものになっていきます。
経験がないことには、別の価値がある
一方で、経験がないことには、別の価値もあります。
それは、先入観が少ないことです。
「こうあるべき」
「昔からこうだった」
その前提を持たないからこそ、新しい問いを立てられることがあります。
経験は大きな強みです。
ただ、経験が増えるほど、見えなくなるものもあります。
だからこそ、「経験がない」という状態は、弱みだけではなく、可能性の余白でもあるのでしょう。
業界の前提にとらわれない視点が新しい価値を生む例は、「みんなが同じことを始めると価値は薄れる」でも紹介しています。
大切なのは、小さく始めること
もちろん、これは無計画に挑戦を勧める話ではありません。
相手の判断を奪うための話でもありません。
むしろ大切なのは、小さく始めることです。
- 少し勉強してみる
- 詳しい人に話を聞いてみる
- 小さく試してみる
その積み重ねが、いつの間にか「経験」になっていきます。
そして振り返ったとき、
「あのとき、経験がなかったからこそ、一歩を踏み出せた。」
そう思える瞬間が来るのかもしれません。
未経験だからこそ、最初から大きく始める必要はありません。小さく学び、小さく試し、小さく振り返ることが、未来の経験になります。
もし今、あなたの前に「やったことがないこと」があるとしたら。
それは本当に避けるべきものなのでしょうか。
それとも、まだ経験していないだけの、新しい可能性なのでしょうか。
P.S.
仕事でも人生でも、大きな変化は「経験を積んでから」やってくるわけではないように思います。
むしろ、
- 少し怖い
- 少し自信がない
- でも、なぜか気になっている
そんなことに手を伸ばした先で、経験が積み上がっていくことが多いのかもしれません。
最近、あなたが「経験がないから」と少し距離を置いていることは何でしょうか。
その中に、これからの可能性が隠れているのかもしれません。
Same Theme
同じテーマの記事 起業と仕事の考え方
このテーマのまとめ起業と仕事の考え方|遠回りしないための、準備・行動・習慣・学び方For Business書人百花
この記事の考え方を、あなたの事業の言葉に。
言葉と導線の手帖は、書人百花が事業者の方に向けて綴っています。読んだ内容を自社の発信や導線に当てはめると、どこから整えるのがよいか。無料の個別相談で、一緒に確かめます。





コメント