「自分でやった方が早いんですよね。」
経営者の方と話していると、この言葉を本当によく聞きます。
- 営業資料も自分で作る
- SNSも更新する
- 採用も面接も、自社サイトの修正も、自分でやる
責任感が強い人ほど、こうした状態になりやすいのかもしれません。
なぜ忙しい社長ほど、会社が伸びなくなるのか
確かに、自分でやれば細かなニュアンスも伝わりますし、誰かに説明する時間もいりません。
短い距離だけを見れば、その判断は合理的に見えることもあります。
ただ、不思議なことに、この「自分でやった方が早い」が積み重なるほど、会社の成長は少しずつ止まり始めます。
- 忙しい
- でも売上は思ったほど伸びない
- 新しい挑戦をしたい
- でも時間がない
- 現場は回っている
- なのに、どこか閉塞感がある
こうした状態に陥る経営者は少なくありません。
忙しい社長ほど、会社が伸びなくなることがあります。原因は能力不足ではなく、経営者が「判断する人」ではなく「作業する人」になってしまうことにあります。
なぜ「全部自分でやる」が苦しくなるのか
少し乱暴に言うと、経営者が「作業の責任者」になってしまっているからです。
本来、経営者の仕事は、すべてを自分でやることではありません。
- 何をやるか
- 何をやらないか
- 誰に任せるか
この判断をすることが、経営の重要な役割の一つです。
ところが、日々の業務に追われると、判断する人ではなく、実行する人になってしまいます。
すると、会社の未来を考える時間が少しずつ失われていきます。
失われているのは「時間」ではなく「余白」
例えば、飲食店のオーナーが、朝の仕込みから接客、経理、販促まで一人で抱えていたとします。
毎日とても忙しいでしょう。
でも、その状態では新しい店舗を出す構想を考える時間も、採用の仕組みを見直す時間もありません。
結果として、目の前の仕事は回っていても、会社そのものは前に進みにくくなります。
ここで見落とされがちなのが、「時間の使い方の質」です。
私たちは、お金の使い方には敏感です。
- 外注費が高い
- 採用コストがかかる
- できるだけ自分でやった方がいい
そう考えて、できるだけ自分でやろうとします。
一方で、自分の時間をどれだけ使っているかについては、意外と無頓着だったりします。
もし経営者が一日二時間を作業に使っているとしたら、それは年間で数百時間になります。
その時間が、事業の方向性を考える時間や、新しい顧客との出会いをつくる時間、次の成長戦略を考える時間だったらどうでしょうか。
会社の向かう先を描くことが、今日の判断を変える理由は、「ゴールのない経営はなぜ苦しくなるのか」で書いています。
失っているのは、単なる作業時間ではありません。
未来を考えるための余白なのかもしれません。
経営者が作業を抱えすぎると、失われるのは時間だけではありません。会社の未来を考えるための余白が、少しずつ削られていきます。
任せることは、責任を手放すことではない
もちろん、何でも外に任せればいいという話ではありません。
これは人を操作するための話ではありません。
任せるというのは、責任を手放すことではなく、自分が本当に担うべき責任に集中するための選択です。
成長している会社を見ていると、経営者は意外なほど細かな作業をしていません。
その代わり、
- どこに向かうのか
- 誰と組むのか
- 何を大切にするのか
こうした判断に時間を使っています。
会社は、経営者の時間の使い方を映す鏡なのかもしれません。
経営者の判断の質を、日々の設計で守る考え方は、「ルーティンは、人生を変えるためではなく『判断の質』を守るためにある」で紹介しています。
経営者にしかできない仕事とは何か
もし今、忙しいのに前へ進んでいる感覚がないとしたら、一度だけ立ち止まって考えてみてもいいかもしれません。
自分が抱えている仕事の中に、本当は誰かに任せられるものはないだろうか。
そして、自分にしかできない仕事とは、一体何なのだろうか。
会社を伸ばすために必要なのは、社長がもっと忙しくなることではありません。社長にしかできない判断に、時間と意識を戻すことです。
Same Theme
同じテーマの記事 経営と組織・社長の時間
このテーマのまとめ経営と組織・社長の時間|「頑張る」の前に、役割と仕組みを整えるFor Business書人百花
この記事の考え方を、あなたの事業の言葉に。
言葉と導線の手帖は、書人百花が事業者の方に向けて綴っています。読んだ内容を自社の発信や導線に当てはめると、どこから整えるのがよいか。無料の個別相談で、一緒に確かめます。





コメント